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Shinkyouchi

随想音

ジュノー:2

ステレオ

楽器店のバイトを辞め大学を卒業してからもNやんとはよく一緒に遊んだ。遊ぶといっても彼はほとんとクラブに行かないタイプの人間だったので、専らお互いの家で曲を作って遊んでいた。気の合った友達と音楽を作るのは本当に楽しいものだ。そのうちグループ名を付けて普段自分の名義では作らないようなジョークを含めた音楽を作ろうということになった。グループ名はステレオブラザーズ、メンバーはLとR。もうこの時点でふざけている。似た者同士、ふざけた話で大笑いしているNやんと私らしい良いネーミングだと思った。お互い根が真面目だからこうでもしないと力を抜いた音楽が出来なかったのだ。

だから作りながら二人でよく笑った。順番にシーケンスを組みアイデアに詰まったら交代というのを繰り返して二、三時間作業する。そうして出来た断片的なシーケンスデータを私が持って帰り、全体を構成してNやんに渡す。残りの音色選びやミキシングはNやんに任せる。大体こうして出来上がる。一人でも作れるのは言うまでもないが、自分では思いつかない予想外のアイデアがこうした共同作業での醍醐味だ。MCハマーをサンプリングしてハマーマッドネスなんて曲を二人で作ったが、まず一人では絶対作ることはないだろう。そんな冗談みたいな曲を大笑いしながら真面目に作っていた。

二〇〇四年頃Nやんは砧のマンションに引っ越し、その翌年私は新宿のアパートで一人暮らしを始めた。当時はエレクトロのブームで八十年代の音が流行中だった。ニューウェイブも流行っていた。当然我々ステレオブラザーズもその中にいて音はもろにピコピコした電子音でエレクトロな感じだった。(Nやんも私も個人ではグリッチ音満載な真面目なエレクトロニカを沢山作っていたのだが。)そしてタケノコガールという人工音声に歌わせたシンセポップの迷曲、いや名曲が完成した。Nやんが入れてきたイントロの声のサンプル(Mac OSの人工音声)はもろにキーからずれていたがそこはニューニューウェイブな感じでまあいいやと自分を納得させた。歌詞も意味不明だった。私のタケノコ、たけしのタケノコ♪ 作詞:Nやん 作曲:私。とまあイントロから意味が全然わからない。ただこの謎の哀愁とバカバカしさ。それが親友との最高の遊びだった。

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